「話がかみ合わない」と感じたことはありませんか?
会議での議論、友人との対話、SNSでのコメント。
同じテーマを語っているはずなのに、なぜか通じ合わない。
その原因のひとつが 「抽象度のズレ」 です。
抽象度とは、物事をどの高さから眺めているかという思考の階段のこと。
低い抽象度は「具体的な事実」にとどまり、
高い抽象度に上がるほど「背景の仕組み」「価値観」「存在意義」へと広がっていきます。
この記事では「抽象度の5段階モデル」を紹介し、
自分の思考がどのレベルにあるかを点検し、問いの力で上下に移動する方法を探ります。
抽象度の5段階モデル
1. 現象レベル(Level 1)
- 特徴:目の前の事実や出来事
- 例:「今日は雨だ」「売上が下がった」
- 限界:事実だけを述べても、行動や理解にはつながらない
2. 原因レベル(Level 2)
- 特徴:なぜそうなったか、因果を説明
- 例:「低気圧の影響で雨」「広告投資が減ったので売上が下がった」
- 限界:原因探しに偏ると、責任追及や言い訳に陥ることも
3. 構造レベル(Level 3)
- 特徴:仕組みや制度に着目
- 例:「都市の排水構造の問題」「業界全体の消費動向」
- 価値:問題の背後にあるシステムを理解することで再現性ある改善が可能
4. 価値レベル(Level 4)
- 特徴:良し悪しや価値基準を問う
- 例:「雨は農作物に必要だから歓迎すべき」「利益より顧客満足を優先すべきでは?」
- 価値:意思決定や方向性に直結する
5. 存在レベル(Level 5)
- 特徴:根本的な意味や存在意義
- 例:「人間はなぜ自然と共に生きるのか」「企業は何のために存在するのか」
- 価値:哲学的だが、行動の根源的なエネルギーにつながる
👉 この「抽象度の階段」を自由に行き来できることが、深い思考・豊かな表現の鍵です。
ワークパート(QECC方式)
Q(Question:問い直す)
最近のテーマを1つ書き出してください。(例:お金/仕事/人間関係)
→ そのテーマを自分が普段どのレベルで話しているか?
例:「お金」について
- Level 1:財布に1万円ある
- Level 2:なぜ貯金できないのか?
- Level 3:日本の給与構造に問題がある
- Level 4:お金は幸せに必要か?
- Level 5:そもそも「豊かさ」とは?
E(Eye:視点を広げる)
そのテーマを 1段階上/下 に言い換えてみる。
- 「今日は雨だ」(現象) → 「低気圧が来ている」(原因)
- 「低気圧が来ている」(原因) → 「都市の排水構造は脆弱では?」(構造)
👉 上下に動くことで新しい視点が生まれる。
C(Create:新しい構造を設計する)
会話や文章で 複数レベルを同時に扱う 練習。
例:「売上が下がった(現象)。広告投資が減った(原因)。だが業界構造の変化が背景にある(構造)。だから利益至上ではなく顧客価値を優先すべきだ(価値)。」
👉 こうすると「浅い報告」から「戦略的な提言」へと進化する。
C(Change:小さく試す)
今日の会話やSNS投稿で、意識的に 抽象度を1段階上げて表現 してみよう。
- 「雨降ってる」 → 「自然と都市の関係って面白い」
- 「忙しい」 → 「私の働き方は何を優先しているのだろう?」
👉 その変化に対して周囲がどう反応するかを観察する。
まとめ
抽象と具体の間を自在に行き来できる人は、思考にも表現にも深みが出ます。
そして、その「抽象度の上下動」を導くのが 問いの力 です。
次に会話や文章を書くとき、ぜひ意識してみてください。
「私は今、どの抽象度で話しているだろう?」
この小さな問いが、あなたの思考を階段の上へと押し上げてくれます。
👉 詳しくは QECCドリル「3D-EYE 抽象と具体を鍛える30日」(準備中) でも実践できます。
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